
※結腸~直腸にびっしりと詰まった便
数年前にも取り上げました、保護したときから脊椎の障害がある我が家の猫です。
歩行も少し不自由ですが、いちばん気を遣うのは排泄です。
自分のタイミングでうまく出すことができません。
便は腸にたまり、ある程度たまったところで腹圧がかかったときに“ところてん”のように押し出されます。
完全に出し切れるわけではありません。
そのため、半年に一度ほど鎮静下で腸内の便を掻き出す処置を行っています。
神経が関わる排便の問題
脊椎に障害があると、直腸の感覚が鈍くなったり、排便のタイミングがつかめなくなったり、うまく力が伝わらなくなったりします。
腸がまったく動いていないわけではありません。
ただ、「出す」という最終段階がうまくいかないのです。
だから治療の中心は、“出させる”ことよりも、“ためすぎない”ことになります。
日常の管理
この猫では、いくつかを組み合わせて維持しています。
便の量を減らす目的で、低分子プロテイン食を使用しています。
消化吸収率を上げ、残渣を減らすためです。
便の水分バランスを整えるために、サイリウムを少量使っています。
量が多すぎると逆効果になることもあるため、慎重に調整しています。
腸の動きを補助する目的でモサプリドも使用しています。
正直に言えば、モサプリドは猫の便秘に対して強いエビデンスが確立している薬ではありません。
結腸主体の便秘にどこまで有効かという議論もあります。
それでも、消化管運動促進作用に期待し補助的に使っています。
劇的に変わる薬ではありませんが、破綻させないための一つの要素だと考えています。
完璧にはならない
この管理で、正常な排便になるわけではありません。
それでも、直腸の過度な拡張を防ぎ、巨大結腸の悪化を抑え、掻き出し処置の頻度を保つという意味があります。
排泄管理は、「治す医療」というよりも、「崩れないように支える医療」です。
地味な医療の価値
半年に一度の処置は必要です。
でも、半年で済んでいるとも言えます。
派手な治療ではありません。目に見える劇的な変化もありません。
けれど、日々の小さな調整の積み重ねが、この猫の生活を支えています。
排泄の問題は、生活の質を大きく左右します。
うまくいかない日があっても、管理が続いていること自体が、大切な医療だと思っています。
同じように排泄のことで悩んでいる猫は少なくありません。
派手な治療ではなくても、支える方法はあります。


